【4月20日 AFP】エジプトで20日、大統領の任期延長などを内容とする憲法改正の是非を問う国民投票が始まった。

 クーデターを主導したアブデルファタハ・シシ(Abdel Fattah al-Sisi)大統領(64)は、情勢不安が続く地域の安定を自身が支えていると主張している。改憲案は、大統領任期を現行の4年から6年に延長することや、司法に対する大統領の権限拡大、政治に対する軍の影響力強化などが盛り込まれている。

 首都カイロ郊外マニアル(Manyal)の投票所でAFPの取材に応じた男性(45)は、改憲案を全面的に支持すると語った。男性は「大統領の任期は気にしない」と述べ、「シシ氏は職責を果たしている限り現職にとどまるかもしれない。彼は既によくやっている」と話した。

 同じ投票所にいた30代半ばの別の男性は、勤務先の会社の経営陣から投票に行くように言われたので来たと語り、「本当は大統領任期延長と司法制度関連の改憲には『ノー』と言いたい」「もっとも私がノーと言ったところで(当局は)やりたいようにやるだけだ」と気落ちした様子で話した。この男性が指し示した先には、従業員が確実に投票するように見張っている会社の管理職らの姿があった。

 北アフリカのアルジェリアとスーダンでは大規模なデモが続き、長期政権を維持していた大統領が今月に入って相次いで退陣に追い込まれた。エジプトで3日間行われる国民投票は、こうした地域の流れに逆行している。

 投票初日に関する国際監視団のこれまでの報告によると、投票上の「障害」は確認されなかった。投票は22日に終了し、5日後に結果が発表される。(c)AFP/Bassem Aboualabass and Farid Farid