【4月19日AFP】(更新)米司法省は18日、2016年の米大統領選挙へのロシア介入疑惑に関するロバート・モラー(Robert Mueller)特別検察官の捜査報告書を公表した。報告書は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が繰り返しロシア疑惑捜査への介入を試みたと指摘し、トランプ氏による司法妨害の疑いを晴らすのに十分な証拠はないと結論した。

 報告書は米上下両院の司法委員会に提出され、司法省のウェブサイトで公表された。約400ページに及ぶ内容の一部は、現在進行中の捜査への影響などを理由にウィリアム・バー(William Barr)司法長官によって黒塗りされた。

 報告書の焦点となったのは、トランプ陣営がロシアの大統領選介入に関与したとの疑惑と、トランプ氏が司法妨害を試みたとの疑惑の2点。バー司法長官は公表に先立つ記者会見で、モラー氏の捜査の結果、トランプ陣営とロシアが共謀関係にあったとの証拠は見つからなかったと述べた。

 報告書では、トランプ氏が2017年~18年に幾度もロシア疑惑の捜査への介入を試みたと指摘。これには連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー(James Comey)長官の解任や、モラー氏解任の要求、証人に対し公の場で恩赦をちらつかせたことが含まれるが、いずれの行為も捜査の打ち切りにはつながらなかったとした。

 モラー氏は報告書で「徹底した事実調査の結果、大統領が司法妨害に及ばなかったことは明らかだとの確信が持てたとしたら、われわれはそう明言するだろう」とし、「しかしわれわれは、事実と適切な法的基準を基にその結論には至れなかった」と述べている。

 報告書によると、トランプ氏は、自身が司法妨害の疑いで捜査を受けていると報じられた後、モラー氏の解任を指示した。トランプ氏は2017年6月17日、当時自宅にいたドン・マクガーン(Don McGahn)大統領法律顧問(当時)に電話をかけ、「司法長官代行に電話し、特別検察官には利益相反があり、解任されなければならないと伝えるよう指示した」という。

「土曜日の夜の虐殺(Saturday Night Massacre)を引き起こす恐れがあると考えたマクガーン氏はこの指示に従わず、代わりに辞任することを決めた」と報告書は説明している。「土曜日の夜の虐殺」は、1973年にリチャード・ニクソン(Richard Nixon)大統領(当時)がウォーターゲート(Watergate)事件の捜査妨害を試みた出来事。(c)AFP