【4月16日 Xinhua News】中国江蘇省の蘇州動物園は14日、中国に1匹しかいない雌のシャンハイハナスッポンが13日午後1時20分、死んだことを明らかにした。死ぬ前には5回目の人工授精が行われ、この様子も公開された。シャンハイハナスッポンは「世界で最も孤独な動物」と呼ばれ、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで近絶滅種に指定されており、これで世界に生息するのは3匹となった。

 シャンハイハナスッポンはこれまでに世界で4匹が確認されており、蘇州動物園では雄、雌各1匹を飼育していた。野生動物保護協会(WCS)の資料によると、同園の雄は甲羅と生殖器にひどい傷があって障害が残っており、自然受精が望めない状態だった。

 同園ではこれまでに人工授精を4回試みたが、いずれも採卵が難しく失敗に終わっていた。今回の人工授精の詳細や死因などについてはまだ明らかにされていないが、死んだ個体の卵巣組織は専門家によって採取、凍結保存された。

 中国動物園協会の劉農林(Liu Nonglin)チーフエンジニアは、近絶滅種である同種にとって、災いと言えるほどの大きな損失だと指摘。「現在、世界に残っているは3匹で、蘇州動物園の雄以外の2匹はベトナムに生息しており、性別不詳だ」と語った。

 専門家は、カメやスッポンの最高寿命は160歳以上との記録があり、今回死んだ雌は90歳以上だったと説明。蘇州動物園の雄の年齢は約100歳だと述べた。

 シャンハイハナスッポンは甲羅が約1.5メートル、体重が115キロで、淡水に生息するカメとしては世界で最も大きい。以前は長江流域(銭塘江、太湖)や雲南省の紅河流域に広く生息していたが、2006年以降、紅河流域では幼体も亜成体も発見されていない。(c)Xinhua News/AFPBB News