【4月16日 AFP】米司法省は15日、2016年米大統領選挙でのドナルド・トランプ(Donald Trump)陣営とロシアのつながりを捜査したロバート・モラー(Robert Mueller)特別検察官による最終報告について、一部に不開示処理を施した全体版を18日に公開すると発表した。400ページに及ぶ全体版の公開は、要約版の公開から3週間余りで実現することになる。

 ウィリアム・バー(William Barr)司法長官は先月24日、報告書の要約版を議会に提出。トランプ氏はこれに基づき、2年近くにわたる捜査の末に自身の「完全かつ全面的な潔白証明」がなされたと宣言した。

 
 その際、バー長官は、トランプ陣営が選挙結果に影響を及ぼすためロシア政府との共謀を企図したとの証拠は、モラー氏の捜査では発見されていないと説明。さらに、トランプ氏が司法妨害を行った容疑についても十分な証拠はないと述べた。

 一方でバー氏は、司法妨害の証拠の重みについてモラー検察官自身は判断を示していないとも言及したため、報告書が本当に大統領の潔白を証明しているのかどうか疑いが生じている。このためバー氏は要約版の公開以降、報告全文の公表を求める圧力にさらされてきた。

 バー氏は、公開する全体版はあくまでも、情報機関からの情報やモラー氏が招集した大陪審から得られた機密情報を黒塗りしたものにとどめると強調している。だが、大統領の犯罪行為に関する証拠の有無を把握する上で大陪審からの情報は不可欠だとの批判もあり、野党・民主党は議会で黒塗り処理をしていない全文の開示を要求している。

 モラー氏が指揮する捜査は1年10か月にわたり行われた後、報告書の提出をもって終結。この間、捜査によってトランプ氏の元側近6人を含む34人が訴追された。(c)AFP