【4月27日 AFP】1990年11月12日に行われた天皇陛下の即位式は、伝統を踏まえた綿密な式次第に沿って行われたが、現代性も垣間見えた。

 当時56歳だった天皇陛下はすでに前年、父親の昭和天皇が亡くなったすぐ後に即位されていた。公式な即位式にあたる「即位礼正殿の儀」は、長い喪の期間が明けた翌年に行われ、世界各国の王族を含む2500人が参列した。

 この儀式が行われたのは、天皇をもはや「現人神」ではなく「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と定めた第2次世界大戦(World War II)後の日本国憲法下で初めてのことだった。

 30日に退位される天皇陛下の即位の日を、当時のAFPの報道から振り返る。

■伝統的な儀式

 皇居・宮殿の松の間には、屋根に金色の鳳凰飾りが付いた大きな八角形構造の「高御座(たかみくら)」と、その横に皇后さまのためのやや小さな座が据えられた。

 座から見える中庭にのぼり旗が2列に立ち、伝統装束を着た職員や雅楽隊ら計数十人が並ぶ中、伝統装束姿の皇族がゆっくり姿を現した。やがて十二単(ひとえ)姿の皇后さまが、そして最後に平安時代から伝わる儀式用装束に身を包んだ天皇陛下が松の間に入った。式は30分ほど続いた。

■海外からの参列者

 出席した約500人の外国賓客の中には、国家元首約70人、首相約20人の他、世界各国の王族もいた。ベルギーのボードワン国王(King Baudouin)とファビオラ王妃(Queen Fabiola)夫妻(ともに故人)が最前列に座り、その後ろに約20か国の王族が連なった。英国のチャールズ皇太子(Prince Charles)と故ダイアナ元皇太子妃(Princess Diana)も参列した。