【4月15日 AFP】ラグビーオーストラリア代表のスター選手イズラエル・フォラウ(Israel Folau)が14日、同性愛者への暴言を繰り返して同国ラグビー協会(Rugby Australia)から契約を解除される可能性が高まっていることについて、信仰のためなら喜んでラグビー界から身を引くと意見を曲げない姿勢を示した。

 代表を率いるマイケル・チェイカ(Michael Cheika)ヘッドコーチ(HC)は、今後はフォラウを代表に招集しない考えを示している。

 非常に信心深いことで知られるフォラウは、自身のインスタグラム(Instagram)に10日、「酔っ払い、同性愛者、姦通(かんつう)者、うそつき、姦淫(かんいん)した者、盗っ人、無神論者、偶像崇拝者――君らには地獄が待っている」と投稿。投稿は3万8000以上の「いいね」を集める一方、大きな波紋も呼び、ラグビー協会がフォラウとの契約解除の意向を示す事態となった。

 両者は12日に話し合いの場を持ち、フォラウはこの後、行動規定に関する聴聞会に出席するとみられている。一方で契約解除については、信仰の自由に対する侵害で訴訟を起こす根拠がフォラウ側にあるという報道も出ている。

 その中でフォラウ本人が14日、問題後初めて口を開き、現地紙シドニー・モーニング・ヘラルド(Sydney Morning Herald)に「もちろん、現在検討中の事柄だが、自分には神への信仰があり、全てはそれによって決まってくる」「現役を続けるにせよ、やめるにせよ、全ては神のおぼしめしであり、主の望みに喜んで従う」と話した。

 スーパーラグビー(Super Rugby)の歴代最多トライスコアラーであるフォラウは、本来なら今年開催されるW杯日本大会(Rugby World Cup 2019)に臨むオーストラリア代表の主力で、同時に最も広告価値が高い選手でもあるが、極端な宗教観の持ち主ゆえに協会は以前から持て余し気味だった。

 フォラウは、今回の件で自身の姿勢を見直すことは「絶対にない」と話し、「私は聖書の言葉に従う。聖書と同様の見解を愛について持っているし、愛と表裏の部分に関しても同様だ。その点について、人々は私と正反対の意見を持っているようだがね」とコメントしている。

 15日には、チェイカHCがフォラウの反同性愛発言は「敬意を欠く」と話し、今後の招集を見送る考えを明らかにした。チェイカHCは、同性愛者には「地獄が待っている」という発言をする人間は代表のジャージーにふさわしくないと話している。

「前回の話し合いで、こちらの立場は明確にした。彼には信仰の自由があること、そして本人が望むのであれば、チームとしてその意見を尊重することもね」「しかし、あのような敬意を欠く意思表示の仕方は、代表チームにふさわしいものではない」

「ゴールドのジャージーをまとう人間は、オーストラリアの全員を代表する。そう、チームを支えてくれる全ての人だ。われわれはその中から誰かをえり好みしたりはしない」 (c)AFP/Martin PARRY