【4月15日 AFP】ニュージーランド政府は15日、シリアで2013年にイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に拉致され今も行方不明のニュージーランド人看護師、ルイーザ・アカビ(Louisa Akavi)さん(62)の捜索のため、特殊部隊を現地に派遣したことを明らかにした。

 これに先立ち14日、赤十字国際委員会(ICRC)がアカビさんについて、「2018年後半に生存していたことを示唆する信頼できる情報」を入手したとして、情報提供と解放を訴えていた。

 ICRCによるとアカビさんは2013年10月13日、ICRCのスタッフとしてシリア北西部イドリブ(Idlib)県の医療施設に物資を運搬中、武装集団に拉致された。ICRCの車列を止めた武装集団は7人を連れ去ったが、翌日4人が解放され、アカビさんとシリア人の運転手2人の合わせて3人の行方が今も分かっていない。

 ICRCは3人を拉致したのはISだとみている。運転手2人のその後に関する情報はないという。

 アカビさん生存の可能性については、IS最後の拠点の一つだったスーサ(Sousa)の診療所で昨年12月に見たと話す証言者が少なくとも2人いると、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が報じている。目撃情報によればアカビさんはIS支配下の病院や診療所で医療に携わっていたとされることから、既に拘禁されてはおらず、看護師の技能を活用してわずかながら自由を得ていると考えられる。

 ニュージーランドのウィンストン・ピーターズ(Winston Peters)副首相は、3人の身に危険が及ぶ恐れがあったため拉致事件の公表を控えていたと説明。アカビさんは今もISに拘束されているとみられるとして、所在を突き止める作戦を実行中だと述べた。

 ピーターズ氏によると、ニュージーランド軍特殊部隊など複数の組織から成る作戦チームは、イラクを拠点に活動し、必要に応じてシリアを訪れている。戦闘部隊ではなく、アカビさんの所在を確認し救出の可能性を探るのが任務だという。(c)AFP