【4月15日 AFP】今月21日のウクライナ大統領選決選投票を1週間後に控えた14日、首都キエフのオリンピック・スタジアムで候補者の討論会が開かれたが、3月末の第1回投票でトップに立ったコメディー俳優のウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)氏(41)は現れず、ペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)大統領(53)が一人で演説して集まった数千人の支持者を大いに盛り上げた。

 スタジアム内に用意された臨時プレスセンターには2つの演壇が設置され、司会者が記者団を前にルールを説明した。収容人員7万人のスタジアムの外では、大統領支持者らが「ポロシェンコ」と唱和していた。

 2014年の民衆蜂起を受けて権力の座に就いたポロシェンコ氏は、政界入りして間もないゼレンスキー氏との論戦を望んでいた。ポロシェンコ氏は、会場に現れなかったゼレンスキー氏を厳しい質問から逃げたと非難した。

 ポロシェンコ氏は、仮に決選投票でゼレンスキー氏が当選すれば「ウクライナ国民の選択」を尊重するとしつつも、国の未来を憂慮すると発言。1時間の登壇中に記者団の質問にも応じた同氏は「ウクライナの運命は危険にさらされていると言わなければならない」と語った。

 警察によるとスタジアムには約5000人が集まった。ゼレンスキー氏の求めで討論会の前に両候補者が血液中の薬物とアルコール濃度を調べる検査を受けるなど、今回のウクライナ大統領選は時に喜劇のような様相を呈している。(c)AFP/Olga SHYLENKO