【4月12日 AFP】世界貿易機関(WTO)の上級委員会は11日、2011年の東日本大震災に伴う原発事故を受けて福島県などの水産物輸入を規制している韓国の措置を不当とした一審判断を取り消し、韓国による輸入規制を容認する判断を下した。これに対し外務省は12日、上級委の判断は「誠に遺憾」とする声明を発表した。

 2011年の東日本大震災による東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所の事故後、韓国は放射能汚染の懸念があるとして被災県を含む8県産の水産物輸入を規制。日本政府はこの措置を不服として2015年5月、WTO紛争解決手続きによる協議を韓国に要請したが解決に至らず、同年8月にWTOに紛争処理小委員会(パネル)の設置を要請し、昨年、小委員会は韓国の禁輸措置を不当と判断し、韓国に是正を求めていた。

 だが、WTOの紛争処理手続きの最終審に当たる上級委は、日本側の主張を認めた小委員会の判断を否定。数年に及んだ日韓の法廷闘争は、韓国の禁輸を容認する形で幕を閉じた。

 これを受け、日本の外務省は声明を発表し、韓国の措置がWTO協定に整合していると認められたわけではないとした上で、「わが国の主張が認められなかったことは誠に遺憾」との意を表し、韓国に対し規制撤廃を求めるという立場に変わりはなく、今後も韓国との二国間協議を通じて措置の撤廃を求めていくと述べた。(c)AFP