【4月10日 AFP】米ニューヨーク市のビル・デブラシオ(Bill de Blasio)市長は9日、市内ブルックリン(Brooklyn)地区の一部地域を対象に公衆衛生上の非常事態を宣言し、全住民にはしかの予防接種を義務付けた。ブルックリンでは現在、超正統派ユダヤ教徒が多く住む地域ではしかが集中的に流行しており、感染封じ込めのため義務付け措置が取られた。

 対象はブルックリン北西部ウィリアムズバーグ(Williamsburg)のうち、4つの郵便番号にまたがる区画の在住・在勤者。一部の住民は宗教上の理由で予防接種に反対しているが、ユダヤ教の教典や地元のユダヤ教指導者が接種を避けるよう勧めているわけではない。

 デブラシオ市長は記者会見を開き、「より力強い手段を取るべき時だ」と述べて緊急措置を発表。「状況はすぐに好転させられる」とし、感染は「止められる」と強調した。

 ニューヨーク市長室の発表によると、はしか・おたふくかぜ・風疹3種混合(MMR)ワクチンを接種していないか、免疫があることを証明できない住民には、新たな規則によって1000ドル(約11万円)の罰金が科される可能性がある。

 市は、ユダヤ教指導者養成学校や正統派ユダヤ教徒住民向けの学童保育施設に対し、接種を受けていない児童・生徒を施設に入れ続ければ、罰金や閉鎖の処分が科されると警告した。

 カリフォルニアなど3州を除く全米各州と同様、ニューヨークも学齢期の子どもに各種の予防接種を義務付ける一方、医療上または宗教上の理由による例外を認めている。

 しかし、米疾病対策センター(CDC)によると、ニューヨーク市では昨年10月以降、285件のはしか感染が確認され、死者は出ていないものの21人が入院し、5人が集中治療室に収容された。(c)AFP