【4月9日 AFP】香港の選挙制度の民主化を求めた2014年の大規模デモ「雨傘運動(Umbrella Movement)」関連で起訴されていた民主派の活動家リーダーら9人の裁判で9日、全員に有罪判決が言い渡された。中国が強硬姿勢を強める香港で、政治的自由の縮小が懸念される判決となった。

 民主的な香港行政長官選挙の実施を訴えた雨傘運動をめぐる裁判で、9人はまれにしか使われない英植民地時代の法律に基づき公的不法妨害などの罪に問われ、全員少なくとも1つの罪状で有罪となった。

 9人のうち特に著名な人物は、香港大学(University of Hong Kong)の社会学教授、陳健民(Chan Kin-man)氏(59)、同法学准教授の戴耀廷(ベニー・タイ、Benny Tai)氏(54)、キリスト教バプテスト派牧師の朱耀明(Chu Yiu-ming)氏。

 3人は香港の政治改革を求めた2013年の抗議運動「オキュパイ・セントラル(Occupy Central、中環を占拠せよ)」の共同発起人で、1年後に学生が主導した雨傘運動にも参加した。雨傘運動では市の一部が数か月間、機能停止状態となった。

 3人は公的不法妨害の共謀で有罪となった。また陳氏と戴氏は公的不法妨害の扇動への関与でも有罪となったが、公的不法妨害の扇動自体では3人とも無罪となった。

 裁判官は、香港の主要交差点を数週間にわたり占拠した2014年の雨傘運動は、香港法が定める言論の自由の枠外にあるとの判断を下し、「妨害行為の不当性は深刻で、そのようなデモを行う権利は守られるべきではない」「雨傘運動は法律で保障される範ちゅう外だ」と述べた。

 判決が下された後、公判は午後まで一時中断された。量刑の言い渡しがいつ行われるかは明らかになっていない。(c)AFP/Yan ZHAO, Elaine YU