【4月9日 AFP】エジプトで、古代の高位聖職者のミイラが納められた石棺が見つかり、米ケーブルテレビ・ディスカバリーチャンネル(Discovery Channel)が7日、その開封の様子を2時間の特別番組で生放送した。

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 番組は、首都カイロやギザ(Giza)のピラミッドからナイル川(Nile River)沿いに南に下がったミニヤ(Minya)付近の発掘現場から放送された。

 同地では最近考古学者らが、一続きになった複数の立て坑を発見。これが地下道と複数の墓につながっており、墓の中からはミイラ40体が見つかった。ミイラはいずれも「身分の高いエリート層に属するとみられる」という。

 墓の調査では、像や魔よけ、内臓を納めるカノプスつぼなどの人工物やさらに多くのミイラが見つかった。中には腐敗が進み、骨だけが残ったものも1体あった。最後には、複雑な彫刻が施された「サルコファガス」と呼ばれる石棺が納められた一室に到達。

 はって中に入った考古学者らは、数人がかりで石棺を開封。中には、きっちりと布に包まれ、金などの宝飾品に囲まれたミイラ1体が納められていた。

 ディスカバリーチャンネルの広報担当者は以前AFPに対し、今回のプロジェクトはエジプト考古省と共同で行ったものだと説明していた。

 番組の司会を務めた米冒険家のジョシュ・ゲイツ(Josh Gates)氏と共に、今回の調査を率いたエジプト元考古相で考古学者のザヒ・ハワス(Zahi Hawass)氏は、「信じられない、これはすごい」と感嘆の声を上げた。

 ゲイツ氏は、このミイラは、学問や呪術をつかさどる古代エジプトの神「トート(Thoth)」に仕えた高位聖職者で、エジプト人の最後の王朝で紀元前525年まで続いた第26王朝までさかのぼると紹介。

 そして「古代エジプト末期、真の権力は高位聖職者らにあった。これを見れば分かる…王家の埋葬さながらだ」と述べた。

 映像は7日放送されたもの。(c)AFP