【4月8日 AFP】今秋総選挙を迎えるカナダの野党・保守党のアンドリュー・シーア(Andrew Scheer)党首は7日、政権を揺るがしている政治スキャンダルに関する発言をめぐり、ジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相から名誉毀損(きそん)で訴えるとの脅迫を受けたと主張した。

 シーア氏は同日記者会見を開き、ジョディー・ウィルソンレイボールド(Jody Wilson-Raybould)前司法長官が公開した一連の文書をめぐって、シーア氏が「著しい名誉毀損に当たる」発言を行ったと批判する書簡を、トルドー首相の弁護士から受け取ったとを明かした。

 トルドー氏とその側近らに対しては、大手建設会社によるリビアでの贈賄疑惑の刑事裁判化を回避する目的で、前司法長官に圧力をかけたとのスキャンダルが浮上しており、それに関連して同前長官が先月末に文書を公開していた。

 シーア氏は、政府が国民にうそをつき、腐敗していると非難。提訴をちらつかせたのはトルドー首相による「脅迫戦術」であり、「立ち上がって真実を求める人々の口を、また封じようとしている」と批判した。

 さらに、「もし首相が私を訴えようと思うなら、脅迫通りに直ちに実行するよう促したい。国民は今回のスキャンダルが、(与党の)自由党が法的手続きをコントロールしない司法の場で捜査されることを望んでいる」と述べた。

 首相報道官は同日午後、先の書簡はシーア氏に対し「全くの虚偽で中傷に当たる発言には結果が伴うことを伝える」ために送付されたものだと説明した。

 総選挙を半年後に控え、与党よりも優位に立つ右派の保守党は、今回のスキャンダルが浮上して以来、トルドー首相への攻勢を強めている。(c)AFP