【4月8日 AFP】韓国の大韓航空(Korean Air)は8日、同航空を傘下に置く韓国の財閥、韓進グループ(Hanjin Group)の趙亮鎬(チョ・ヤンホ、Cho Yang-ho)会長が7日、米ロサンゼルスの病院で死去したと発表した。70歳。晩年は一族の不祥事に相次いで見舞われ、長女の趙顕娥(チョ・ヒョナ、Cho Hyun-Ah)氏は2014年、大韓航空機内で乗務員のナッツの出し方に激怒し、機体を引き返させて乗務員を降ろさせたいわゆる「ナッツ事件」を起こした。また、死去の報を受け、関連株価が上昇している。

 大韓航空によると、趙会長は「安らかに息を引き取った」という。死因の詳細は明らかにされていない。

 趙会長は200億ウォン(約19億6000万円)を超える横領や、家族が経営する企業に不正に仕事を請け負わせていた罪で起訴され、公判中だった。また一族をめぐる不祥事も重なり、先月末には大韓航空の取締役再任案が株主総会で否決されていた。

 2014年に長女の顕娥氏がナッツ事件で大韓航空の副社長の座を退いたほか、昨年には同社の幹部だった次女の趙顕ミン(チョ・ヒョンミン、Cho Hyun-min)氏も取引先従業員への「ジュース掛け事件」で物議を醸し、役職を離れている。

 また妻の李明姫(イ・ミョンヒ、Lee Myung-hee)氏も、運転手や工事作業員らへの暴行・暴言をめぐって警察の事情聴取を受けていた。

 ソウル株式市場では、8日午前の取引で韓進グループの持ち株会社、韓進KAL(Hanjin Kal)の株価が24%高と急騰。大韓航空株も寄り付きで6%以上値を上げるなど、関連株価の上昇が相次いだ。

 聯合(Yonhap)ニュースは、趙会長の死去により創業者一族の不祥事によって企業価値が下がる「経営者リスク」が消えたとのアナリスト分析を伝えている。(c)AFP