【4月7日 AFP】アフリカ一の富豪として知られるナイジェリアの実業家アリコ・ダンゴート(Aliko Dangote)氏は6日、実際に目で見て口座残高が本物の金であることを理解するためだけに1000万ドル(約11億2000万円)を現金で引き出したことがあると語った。

 セメントから小麦粉まで幅広い事業を手掛けるダンゴート氏は、コートジボワールの最大都市アビジャン(Abidjan)で開かれたモ・イブラヒム財団(Mo Ibrahim Foundation)主催のフォーラムで講演。「若者にとって最初の100万ドル(約1億1200万円)は重要だが、そのうち数字に大した意味はなくなる」と語った。

 さらに「ある日、1000万ドルを現金で引き出し、車のトランクに積んで自分の部屋に運び込んだことがある。現金を見て、ようやく自分が金を持っていると実感できた」と語った。現金は翌日、預金し直したという。

 この逸話の他にダンゴート氏は、アフリカで今後有望と思われる業界は農業と新しいテクノロジーだという考えを示す一方、アフリカの若い企業家たちには最初の成功に浮かれないようにとアドバイス。「アフリカでは予測される収益を当て込んで浪費することがよくあるが、(ビジネスに)栄枯盛衰は付き物だ」と警告した。

 ダンゴート氏は、関税と行政上の問題がアフリカ大陸における事業の発展を阻害しているとも指摘。その一例として、ナイジェリアの隣国ベナンが国境から40キロのナイジェリア国内にある同氏の工場からではなく、中国から「より価格の高い」セメントを輸入していることを挙げ、無念さをにじませた。(c)AFP