【4月3日 AFP】今日誕生する子どもの寿命は、大気汚染が原因で平均1年8か月縮む恐れがあり、とりわけ南アジアでの影響が最大だとする研究報告が3日、発表された。

【写真特集】スモッグに覆われた北京

 米国を拠点とする健康影響研究所(HEI)とカナダのブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia)が発表したこの報告書によると、世界全体における早期死亡原因の第5位が大気汚染で、マラリアや交通事故、栄養失調や飲酒よりもより多くの死者を出しているという。

 2017年に全世界で大気汚染により縮んだ健康寿命を合計すると、1億4700万年分に上るとしている。

 屋内外の空気汚染により、子どもの寿命は南アジアで2年6か月、東アジアで1年11か月縮むとされ、これに対しアジア太平洋地域の先進国や北米では約20週間縮むと推算されている。

 中国は国を挙げて対策に取り組んでいるにもかかわらず、大気汚染による死亡率が世界最高で、2017年には関連要因により約85万2000人が死亡した。

 大気汚染による死亡率が最も高い5か国は、中国、インド、パキスタン、インドネシア、バングラデシュと、いずれもアジアに位置する。

 調理や暖房目的で石炭や木材、木炭を燃やすことなどから、屋内での空気汚染が目立つのも、南・東アジアとサハラ以南アフリカだ。

 世界保健機関(WHO)の昨年10月の調査によると、屋内外の空気中に漂う有害物質への暴露が原因で死亡する15歳未満の子どもは年間約60万人いるという。

 子どもは概して大人よりも呼吸が速く、脳や身体の成長中により多くの汚染物質を吸収するため、大気汚染から受ける被害もさらに大きくなる。(c)AFP