【4月2日 AFP】米国は1日、トルコがロシアから地対空ミサイルシステム「S400」を調達する姿勢を崩していないことから、トルコへの最新鋭戦闘機「F35」の引き渡しと、F35の開発・配備計画をめぐる同国との共同事業を凍結すると表明した。トルコは北大西洋条約機構(NATO)加盟国で、米国と同盟関係にある。

 米国はロシアからS400を購入するとのトルコの決定に数か月前から警告を発しており、米国防総省は、トルコ側の判断はF35計画への参加を続ける姿勢とは相いれないと指摘した。

 NATOは旧ソ連に対抗するため結成された同盟であり、加盟国がロシアの兵器システムを購入することは極めて異例。

 米国のチャールズ・E・サマーズ・ジュニア(Charles E. Summers Jr.)国防長官補佐官代行(広報担当)は「トルコがS400の取得を思いとどまるまで、同国へのF35の引き渡しおよび同国によるF35運用能力構築に関する活動を停止する」と述べた。

 さらに同補佐官代行は、「トルコがS400を調達すれば、同国のF35開発計画への参加継続も危うくなる」とした。

 米当局はこれまで、トルコが米ロ双方の兵器を手に入れることでロシアがF35のデータを入手することが可能になり、西側諸国の航空機に対するS400の対応性能が高まるとの懸念を示してきた。

 米国防総省は、トルコが開発していたF35用の部品について、すでに別の調達先の検討を始めていると明らかにした。

 トルコは空軍仕様のF35A100機を購入する計画で、すでに操縦士が米国内で訓練を受けている。製造元の米航空防衛機器大手ロッキード・マーチン(Lockheed Martin)によると、調達計画ではトルコ企業8社がF35の部品を製造することになっており、契約総額は120億ドル(約1兆3000億円)に達すると見込まれていた。(c)AFP/Shaun TANDON