【4月3日 Xinhua News】中国江蘇省溧陽(Liyang)市の上興(Shangxing)鎮経済開発区でこのほど、考古研究者が2500年以上前の大型土墩墓(どとんぼ)から、陶罐(土器のかめ)に入れられたほぼ無傷の卵を発見した。南京博物院と溧陽市博物館の合同発掘チームが3月25日に明らかにした。

 土墩墓は中国江南地方特有の墓葬で、地下に墓穴を掘る方式とは異なり、遺体を地面や石の床に置き、饅頭(まんじゅう)状に盛り土をする。同心円状に拡張し、一つの大家族を埋葬できる。南京博物院と溧陽市博物館からなる合同発掘チームは2018年3月、上興鎮で調査作業を開始し、1年かけて西周時代から春秋時代に造られた墓葬38基を発掘した。 

  考古学専門家によると、卵の入った陶罐が出土したのは「子午墩」(しごとん)と呼ばれる直径約40メートル、高さ7.4メートルの円形大型土墩墓。陶罐は出土時、ふたがされており、中には鳥類のものと思われる卵が詰められていた。卵の具体的な数量はまだ確認を終えていないという。少なくとも2500年を経ているが、卵は一つが割れていただけで、残りは完全な状態を保っていた。

 南京博物院考古研究所の考古学専門家で今回の発掘チームの現場責任者を務める周恒明(Zhou Hengming)氏は、卵がこれほど長い期間、ほぼ完全な状態で保存されていたのは容易ではないと指摘。発掘チームも安易に触れることはできないので、X線CTスキャンを用いて甕(かめ)の中の卵の数量を確認する予定だという。

 同研究所の林留根(Lin Liugen)所長は「卵の白身と黄身はほぼ分解されていた。DNA鑑定などの方法を用いれば生なのか漬けられたものなのか、また具体的な『年齢』も分かるだろう」と説明。江南の土墩墓で卵が出土したのは5度目だが、今回は最もよい状態で保存されていたと述べ、研究室に持ち帰り調査を進めたいと語った。

 林氏は墓に卵が入れられた理由について「古代の人々は死を生の延長線上にあるものと考えていた。ひなは卵から生まれることから、万物の生まれ変わり、子孫の繁栄を象徴している。また、信仰や生活習俗と関係している可能性もある。墓の主人が生前、卵が好きだったので、このような形で死後も卵を食べられるようにしたとも考えられる」と述べた。(c)Xinhua News/AFPBB News