【3月29日 AFP】ロシア・ボクシング連盟(RBF)の事務局長を務めるウマル・クレムレフ(Umar Kremlev)氏は、国際ボクシング協会(AIBA)が2020年東京五輪で競技団体として生き残るために、同協会が抱えている1600万ドル(約17億7000万円)の負債を肩代わりすると表明した。

 今回の異例の申し出は、スキャンダルにまみれたAIBAを対象とした国際オリンピック委員会(IOC)の調査結果次第で、東京五輪におけるボクシング競技の運命が決まるという状況を受けてのものとなっている。

 AIBAの執行委員でもあるクレムレフ氏はIOCへの書簡で、「われわれのこよなく愛するスポーツが五輪プログラムに残るのであれば、AIBAの負債を完済する用意がある」「ボクシングを五輪ムーブメントに残すことに加え、財政問題がボクシングの未来を脅威にさらす理由の一端ではなくなるためにも、私は是非ともそうしたい」と述べた。

 RBFはウェブ通信社の「インサイド・ザ・ゲームズ(Inside the Games)」に対し、AIBAの負債を帳消しにするために、クレムレフ氏が私財を投じることになると明かした。

 2016年リオデジャネイロ五輪でボクシングの不正疑惑が浮上した後、IOCは東京五輪に向けて同競技の準備を凍結し、現在はAIBAが十分な組織改革を行っていることを示す確証を模索している。IOCはまた、AIBAのカバナンスや反ドーピングプログラムの問題に関する調査も進めている。

 AIBAとIOCの関係は、昨年11月にガフル・ラヒモフ(Gafur Rakhimov)氏がAIBA会長に選出されて以降さらに悪化。ウズベキスタンの実業家である同氏は前週、会長を辞任することを表明した。

 IOCは28日、東京五輪におけるボクシングの処遇に関して5月22日に決定すると発表。AIBAへの制裁が継続されることになった場合は、東京五輪での実施に向けてIOCが介入する意向を示した。(c)AFP