【3月25日 AFP】国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(RSF)」は25日、中国が政府批判の抑制と対策を目指し「国際メディアの新秩序」の構築を企図しているとの報告書を発表した。

 中国政府は、ネット検閲システム「万里のファイアウオール(Great Firewall)」を用いて、国が不適切とみなすウェブサイトやコンテンツへのアクセスを遮断するなど、国民に伝わる情報を厳しく統制している。

 だが情報統制の取り組みは中国国内にとどまらず、RSFは、中国政府が検閲や情報統制の手段を他国へ「輸出」していると報告した。

 RSFは報告書の中で、「中国の『イデオロギーに照らして正しい』言葉を押し付け、その歴史の闇の部分を覆い隠すため、政府は大使館や中国文化と中国語(の普及を目指す)孔子学院(Confucius Institutes)のネットワークを通じて攻撃や脅迫を行うことをもはやちゅうちょしていない」と指摘。

 さらに、中国政府は「国際テレビ放送の設備の近代化のための資金拠出を惜しまず、海外報道機関への投資や国際メディアの広告に巨額をつぎ込み、世界中のジャーナリストを中国に無料招待する」といった方法でその影響力を国外でも行使していると警告した。

 RSFのセドリック・アルビアーニ(Cedric Alviani)東アジア総局長は、「中国当局が世界各地で推進しようとしている世界メディアの新秩序は、ジャーナリズムに反する」ものであり、「その新秩序においては、ジャーナリストは市民のためでなく国家のために働くことになる」と警鐘を鳴らした。(c)AFP