【3月24日 AFP】アルゼンチンに潜伏していたナチス・ドイツ(Nazi)の元幹部アドルフ・アイヒマン(Adolf Eichmann)の拉致作戦を指揮したイスラエルの対外情報機関モサド(Mossad)の元工作員、ラフィ・エイタン(Rafi Eitan)氏が23日、テルアビブの病院で死去した。92歳だった。イスラエル公共ラジオが報じた。

 ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相ら同国の指導者層からは、エイタン氏の死を悼む声が上がったほか、モサドも異例の追悼声明を発表。

 モサドのヨッシ・コーヘン(Yossi Cohen)長官は、「故ラフィ・エイタン氏は、インテリジェンス界、とりわけモサドにおいて柱のような存在だった」「ラフィが建国後数年間に築いた礎は、モサドの活動において今でも重要なものだ」と述べた。

 エイタン氏は1926年11月、英国の委任統治下にあったパレスチナのキブツ(集団農業共同体)で生まれた。イスラエル軍の前身となったユダヤ人の軍事組織ハガナー(Haganah)の精鋭部隊パルマッハ(Palmach)で活動した後、1950年代にモサドに入局。

 モサドでは作戦部門トップにまで昇進し、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスに潜伏していたアイヒマンを拉致し、イスラエルに連行する作戦を指揮した。

 ナチス・ドイツによる欧州のユダヤ人絶滅計画「最終的解決」の首謀者であるアイヒマンは、その後裁判にかけられ、絞首刑に処された。(c)AFP/Stephen Weizman