【3月21日 AFP】ベトナムで、女性に無理やりエレベーターの中でキスをした男に科された刑が罰金20万ドン(約950円)のみだったことが明らかになり、性暴力への言及がタブー視される同国でも市民の怒りが噴出している。

 事件があったのは首都ハノイにあるアパート。男はエレベーターに乗り合わせた女性を襲い、無理やりキスした。

 エレベーターの監視カメラには、男が女性に話し掛けた後で隅に追い込み、急いで逃げようとした女性の腕をつかむ様子が映っていた。映像はたちまち拡散し、怒りの声が広がった。

 フェイスブック(Facebook)の利用者の一人は、「こんな罰金… ベトナム女性の尊厳に対する嘲笑であり侮辱だ」と非難した。

 同国では、レイプ以外の性暴力は刑事罰ではなく、「わいせつな言動」として行政罰の対象にとどまり、罰金の最高額は約1500円だという。

 インターネット上では20日、法改正を求める請願運動が盛り上がりを見せた。

 セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)に関する公式統計の定期発表はないが、NGO「アクションエイド(ActionAid)」が女性・少女2000人を対象に行った2014年の調査によると、公の場でセクハラを受けたことがあると答えた人は87%に上ったという。(c)AFP