【3月20日 AFP】ニュージーランド南島クライストチャーチ(Christchurch)で20日、市内2か所のモスク(イスラム礼拝所)で15日に起きた銃乱射事件の犠牲者50人の葬儀が営まれ始めた。

 同日最初に埋葬された人々の中には、祖国の内戦を逃れて移り住んだニュージーランドで皮肉にも悲劇の犠牲となったシリア難民の父親と息子が含まれていた。

 ハリド・ムスタファ(Khalid Mustafa)さん(44)と息子のハムザ(Hamza Mustafa)君(15)は、オーストラリア国籍の白人至上主義者が最初に襲撃した礼拝所、ヌール・モスク(Al Noor Mosque)で射殺された。市内の墓地で行われた葬儀には、イスラム教徒を中心に数百人が参列した。

 事件発生当時、父と兄と共にモスクにいて負傷した弟のザイド(Zaid Mustafa)君(13)も、車いすで出席。両手を胸の前に持ち上げ、祈りをささげていた。

 葬儀への参列のためオーストラリアから来たという男性によると、ザイド君はハリドさんとハムザ君の墓に向かって、「僕はあなた方の前に立っているはずではなかった。あなた方の横で眠っているはずだったのに」と語り掛けていたという。

 ムスタファさん父子の葬儀の後、クライストチャーチで会見したジャシンダ・アーダーン(Jacinda Ardern)首相は「一家は安全と保護を求めてここへやって来たのだと知り、断腸の思いだ。ここなら安心して暮らせたはずなのに」と語った。(c)AFP/Glenda KWEK / Daniel DE CARTERET