【3月20日 AFP】ローマ・カトリック教会の枢機卿で、仏リヨン(Lyon)の大司教を務めるフィリップ・バルバラン(Philippe Barbarin)被告(68)が今月、管轄下の聖職者による性的虐待を通報しなかったとして一審で有罪判決を受けたことに関し、フランシスコ法王(Pope Francis)は18日、同被告からの辞職の申し出を拒否した。

 この判断を受け、教会幹部らの間で驚きが広がるとともに、被害者らからは非難の声が上がっている。

 バルバラン被告は、各国での小児愛スキャンダルの影響を受けたフランスの聖職者として最も高位の人物。今月7日に禁錮6月の執行猶予付き判決を受けたが、控訴している。

 同被告はリヨン司教区が出した声明の中で、「18日午前、法王に辞職を申し出た。法王は推定無罪に言及し、これを受理しなかった」と説明。控訴審の間はリヨンにとどまるとする一方、法王の「提案」により、日常業務をリヨンのイブ・バウムガルテン(Yves Baumgarten)司教総代理に任せ、自身は「しばらく」職務から離れるとした。

 また同被告は、カトリック系テレビ局KOTに対し、「私は役目にとどまるが、司教区の運営からは身を引く」と語った。

 フランスのカトリック聖職者を代表するフランス司教協議会(Bishops' Conference of France)のジョルジュ・ポンティエ(Georges Pontier)議長はAFPに対し、この決定は「前代未聞」の状況を生じさせるものだとして驚きを示した。

 裁判の渦中にある性的虐待の被害者らは19日、バルバラン被告が地位にとどまるとの知らせに怒りを示した。(c)AFP