【3月20日 AFP】中央アジア・カザフスタンで30年近くにわたって政権を握ってきたヌルスルタン・ナザルバエフ(Nursultan Nazarbayev)大統領(78)が19日、辞任を表明し、同国は衝撃に包まれた。

 ナザルバエフ氏はソビエト連邦崩壊以前からカザフスタンを統治してきた。後継者は今のところ明らかになっていない。ただ、ナザルバエフ氏は今後も「国家指導者」という憲法上の地位を維持し、安全保障会議の終身議長の座にもとどまるため、引き続き大きな権力を保持する見通し。

 ナザルバエフ氏は国民向けテレビ演説で辞任を表明し、「私の今後の役目は、わが国で引き続き改革を進める新世代の指導者らが、確実に権力の座に上ってくるようにすることだと思っている」と語った。

 ナザルバエフ氏はまた、任期終了まではカシムジョマルト・トカエフ(Kassym-Jomart Tokayev)上院議長(65)が暫定大統領を務めると説明した。大統領選挙は来年3月に実施される予定。ナザルバエフ氏は与党ヌル・オタン(Nur Otan)党の党首の地位にもとどまる。

 ナザルバエフ氏は1999年、2005年、2011年、2015年の大統領選で勝利。2015年大統領選での得票率は97%余りだった。選挙をめぐっては国際社会から非難の声も上がっており、ナザルバエフ氏に対しては自身の政権に対する反対をほとんど容認していないとの批判も出ていた。

 だが、約1800万人の人口と広大な国土を抱える同国は、ナザルバエフ政権下でエネルギー資源や戦略的位置を利用して影響力を行使し、旧ソ連構成共和国の一国という目立たない立場から脱してイラン核協議やシリア和平交渉の開催国としての存在感を発揮した。(c)AFP/Christopher RICKLETON