【3月17日 AFP】ラグビーシックスネーションズ(Six Nations Rugby 2019)は16日、最終節が行われ、イングランドとスコットランドの一戦は38-38の引き分けに終わった。大量リードを追いつかれての引き分けに、イングランドを率いるエディー・ジョーンズ(Eddie Jones)ヘッドコーチ(HC)は、W杯日本大会(Rugby World Cup 2019)前の貴重な教訓になったと話した。

 早い時間帯の試合でウェールズがアイルランドを下して全勝優勝(グランドスラム)を決めていたため、優勝の可能性が消滅したことを知って試合に臨んだイングランドは、雨の中で30分までに31-0と大量リードを奪った。

 しかしそこから相手の猛反撃に遭うと、2月のウェールズ戦でも前半リードから逆転負けを喫し、相手指揮官から勝負弱さを指摘されていたチームはまたしても崩壊。それでもスコットランドにトゥイッケナム・スタジアム(Twickenham Stadium)で1983年以来となる白星を献上するかに見えた80分過ぎ、交代出場のジョージ・フォード(George Ford)がトライを決めると、試合のラストプレーとなったコンバージョンキックも成功させてなんとか同点に持ち込んだ。

 イングランドがリードしながらも追いつかれたり、逆転されたりするのは、これで昨年6月の南アフリカとのテストマッチシリーズ初戦、今年2月のウェールズ戦に続いて最近では3回目となる。チームにとっては9月に開幕を迎えるW杯前最後の公式戦だったが、優勝を争う力に不安が残る結果となってしまった。

 オーストラリアを率いた2003年のW杯では、決勝でイングランドに敗れて母国優勝を逃す経験をしているエディーHCは、「100パーセント精神的なものだ。われわれに少し付きまとうテーマになっている」「試合を支配しながらアクセルを緩め、コントロールを取り戻せなくなるということを、われわれはこの1年で少なくとも3回経験している」と話した。

 2年前にトゥイッケナムで対戦した際、イングランドは61-21でスコットランドを一蹴している。そしてこの試合も、途中まではそれ以上の大差での勝利も期待できるプレーを見せた。

 エディーHCも「前半のわれわれは飛び抜けたラグビーを見せた」「もっと点差をつけているべきだった」と話しつつ、「素晴らしいレッスンになった。チームの切り札が素晴らしい仕事をして、最後にわれわれを救い出してくれた」とコメントした。

 初対戦が1871年と、ラグビー界で最も古い歴史を持つ両チームの対戦だが、これだけ劇的な展開になることは非常に珍しい。チームの歯車がおかしくなった理由について、エディーHCは「スコアボードに酔ってしまった。たった一人の選手がそうなるだけで、チームに伝染することもある」と話し、「われわれが修正すべきはそこではない。ただ、自分を取り戻す力は身につけなくてはならない」と続けた。

 そして信じられない得点経過から明るい要素を見つけ出そうと、「W杯前にこういう教訓を得られて良かった」「プールステージのトンガ戦でこういう試合をしてしまえば、その後は難しい状況に追い込まれるだろうからね」と話した。(c)AFP/Julian GUYER