【3月16日 AFP】ニュージーランド南島のクライストチャーチ(Christchurch)のモスク(イスラム礼拝所)で少なくとも49人が死亡した15日の銃乱射事件で、フェイスブック(Facebook)はライブ配信されていた襲撃を撮影した動画を途中で止めたが、動画は他のソーシャルメディアで拡散した。ソーシャルメディアが暴力的な動画の拡散を抑制する上で直面する課題が浮き彫りになった。

 フェイスブックは、容疑者が投稿したモスク2か所での銃乱射事件のライブ動画を「迅速に」削除したと発表した。

 だが一部の報道によると、約17 分続いたこのライブ配信はユーチューブ(YouTube)とツイッター(Twitter)上で繰り返し共有された。ユーチューブとツイッターの両社は、画像と関連コンテンツの削除作業を行っていると言明している。

 フェイスブックは対策を講じたタイミングについてはすぐに返答しなかったが、警察の要請を受けた後に動画を削除し、容疑者のフェイスブックとインスタグラム(Instagram)のアカウントを閉鎖したと発表した。さらに「われわれはまた、この犯罪と単独または複数の銃撃者に対する称賛や支持を見つけ次第、削除している」と述べた。

 だがソーシャルメディアの動向を調べている米シラキュース大学(Syracuse University)のジェニファー・グリギエル(Jennifer Grygiel)教授(コミュニケーション学)は、ソーシャルメディア各社は暴力的内容の拡散の阻止に対し、ほとんど何の手も打っていないと指摘する。

「フェイスブックは監視のないプラットフォームで、誰もが好きなものをストリーミング配信できる」とグリギエル氏は話し、2017年に米オハイオ州クリーブランドで起きた殺人事件がフェイスブックでライブ配信された後も、有意義な措置が何も取られていないと主張した。(c)AFP/Rob Lever