【3月18日 東方新報】今年の中国の「両会(全国人民代表大会中国人民政治協商会議)」で熱心に議論された大規模減税と費用削減は、実はすでに3年間続けてきたことだ。2017年の減税と費用削減は1兆元(約16兆6000億円)を超え、18年の減税と経費削減は1兆3000万元(約21兆6000億円)だった。今年の「政府活動報告」によると、19年は企業税と社会保険料負担を約2兆元(約33兆円)軽減するとしている。この2兆元は主として何を削り、どの業界の減税が多くなるのだろうか。

 最も大きいところは、増値税の減税分だ。製造業などの業界で現行税率16%から13%へ、交通・運輸業、建築業などの業界で現行税率10%から9%へそれぞれ軽減するとしている。

 上海財経大学(Shanghai University of Finance and Economics)の胡怡建(Hu Yijian)院長の試算によると、2兆元減税のうち、増値税率の軽減による減税は約8000億元(約13兆3000億円)を占めた。これは昨年の全国増値税総収入の13%に相当し、歴史的にもまれな規模だ。

 19年に入り、いくつかの具体的な減税措置が発表・施行されている。国務院は1月9日、小規模企業に対する普遍的減税措置を決定。主に小規模企業、個人経営者とその他小規模納税者を対象とし、増値税の課税開始金額を現行の月間売上3万元(約50万円)から10万元(約166万円)に引き上げた。これにより、今後、月間の売上高が10万元を下回る多くの小規模企業は増値税を納税する必要が無くなった。この減税策は今年の1月1日にさかのぼり、実施期間は暫定的に3年間。減税額は2000億元(約3兆3200億円)になると見込まれる。

 また、養老保険の負担料率の高さは、企業経営者が頭を抱える問題の一つだ。2019年の政府活動報告は、この問題に直接的に回答を提示した。今年は、社会保険の負担料率を大幅に低減し、都市部従業員の基本養老保険の企業負担比率を16%まで引き下げるとしている。これ以前の同負担比率は19%だったので、一挙に3%引き下げたことになり、下げ幅は相当なものだ。この措置と増値税の減税を合わせると、企業にとって負担の大きい2種のコストが大幅に減り、経営の軽量化に大いに役立つことだろう。(c)東方新報/AFPBB News