【3月15日 Xinhua News】日本の良品計画が1月に発表した2018年3~11月期決算によると、中国市場での売上高が前年同期比9%減となった。早い時期から他社に先駆け中国へ進出し、市民から熱烈な支持を得た「中間層の必需品」に衰退の兆しが見えている。同社に一体何が起こっているのだろうか。

 ▽繁栄から衰退へ

 同社の財務資料によると、2016年2月期決算の中国市場の比較対象売り上げは前年比20.4%増と2015年度の14.5%増、2014年度の14.3%増を大きく上回った。既存店の堅調な成長と新規出店により、2016年2月期決算の中国市場の売上高は人民元ベースで45.7%増の大躍進となった。

 しかし、その後状況は一転し、2017年1月に発表した2016年3~11月期決算では、中国市場で比較対象売り上げはわずか0.8%増にとどまった。

 投資コンサルティング機関「No Agency」創始者の唐小唐(Tang Xiaotang)氏はこの現象について、無印良品のターゲットである中間層の縮小が主な要因と指摘する。中国に1億人以上いるとされる中間層の消費範囲は広く、実際に同社の店舗を訪れる客はそのうちの10%程度だとし、しかもこの層の消費行動は経済や株式市場の影響を受けやすいとの見方を示した。最新の四半期決算資料によれば、中国での業績低迷はすでに2年続いており、楽観を許さない状況だという。

 ▽すでに「中間層の必需品」ではなくなった

 無印良品は中国市場進出後に戦略を変え、ミドルエンドからハイエンドの生活ブランドとして、多くの「文芸青年」と呼ばれるサブカル志向の若者や中間層消費者から評価されるブランドへと成長した。2018年初めにおいても、無印良品は新中間層から最も人気を集める生活空間ブランドの一つとされていた。同社は2017年8月、秋冬シーズンから新価格を導入すると発表。中国市場で7度目の価格変更となった。しかし2017年度の業績は、既存店売上が4.6%増と前年度の4.7%増を下回り、2015年度の20%増と比べれば程遠い結果となった。

 品質的にミドルエンド・ハイエンドのイメージを確立した後、数度にわたり値下げしたことが市場のポジショニングとの不一致をもたらし、中心購買層となる中間層の支持離れを引き起こしたとする見方もある。

 ▽重大な品質問題

 製品価格と市場でのブランド・ポジショニング調整は、無印良品の業績低迷の要因の一つにすぎず、実際には商品品質というもう一つの重要な要因が存在する。

 北京市工商局海淀分局商品科は2018年9月、無印良品の巴溝華聯店で商品の抜き取り検査を実施した。工商局はその後、ホームページ上で調査結果を公表し、同店の衣料品10ロットが不合格だったことを明らかにした。

 品質に疑念が示されたのと同時に、食品にも発がん性リスクがあることが明らかにされた。香港消費者委員会は1月15日、昨年8月~10月に香港各地で販売された58種類のビスケット類から遺伝毒性と発がん性のあるグリシドールとアクリルアミドが検出されたと発表した。今回の「毒入りビスケット」騒動は長引くことはなかったが、頻発する品質騒動が無印良品の輝かしいブランドイメージを曇らせたことは間違いない。

 ▽中国市場から始まる競争

 優意国際品牌管理公司の楊大筠(Yang Dajun)最高経営責任者(CEO)は、無印良品の中国市場重視に変わりはないが、ポータルサイト大手の網易(ネットイース)やスマートフォン大手の小米(シャオミ、Xiaomi)などの中国企業が、無印良品のコストパフォーマンスや品質を学習したことで、中国市場のコストと価格に発言権を持つようになったと分析。また、これらの企業のEコマースの拡大が無印良品より急速であったことも同社に大きな衝撃を与えたとの見方を示した。 

 熾烈(しれつ)な競争に直面した無印良品は、関連事業の拡大という新たなカードを切った。同社は2017年6月、同社初となるレストラン「MUJI Diner」を上海淮海路の旗艦店内にオープン。2018年には、深圳と北京に「MUJI Hotel」をオープンさせた。深圳のホテルは同社にとってグローバル初のホテルとなった。世界旗艦店も増え続けている。同社は2014年と2015年、成都と上海にそれぞれ中国市場で1番目と2番目となる世界旗艦店をオープンした。最近では2018年12月と2019年1月に、南京と杭州に旗艦店をオープンしている。これらの店舗は通常店舗より広く、「MUJI Books」やカフェなども入居し、現地色を取り入れた店舗となっている。

 これらの状況は、同社が中国の消費者を必死に追いかけていることを示しているが、新形態のビジネスの成否を検証するにはもう少し時間がかかるだろう。製品の品質とブランドイメージ、値下げとハイエンド・ミドルエンドのポジショニングなど解消すべき矛盾は多く、バランスを取りながらの解決が求められている。(c)Xinhua News/AFPBB News