【3月10日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」がシリア最後の拠点とする東部の村バグズ(Baghouz)近郊では、米軍の支援を受けたクルド人主体の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」が、IS壊滅の日を数週間にわたって待ち続けている。だが、ISに残されたわずかな支配地域には、まだ多数の民間人がいるとみられている。

 昨年12月以降、IS支配地域にある粗末なテントが並ぶ野営地から退去した人々の数は、女性や子どもも含めて数万人規模に上り、現在も流出が続く。SDFにとっては、かつて広範な地域に「カリフ制国家」を築いたISを壊滅させる最終攻勢をかけようにも身動きがとれない状況だ。

 SDFのアドナン・アフリン(Adnan Afrin)報道官は8日、「われわれが作戦を開始した時、(バグズに)民間人が残っている可能性は把握していた。だが、これほどの数だとは思わなかった」とAFPに語った。

 ここ数日は、ISに参加するために世界各地から集まって来た人々を含む、男女数千人がバグズを退去した。

 バグズに潜伏し続ける人々は非常に少なく、こうした人々らは退去や降伏を拒んでその地で死ぬことを選ぶとの予想は裏切られた形だ。

 別のSDF幹部も「民間人たちは地下室からも出て来て、尽きる気配がない」と語る。

 国際人道支援団体「国際救済委員会(International Rescue Committee)」の8日の発表によると、7日だけでバグズから約6000人が、過去48時間で1万2000人が同国北東部の避難民キャンプに到着したという。(c)AFP/Dylan Collins