【3月6日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)のチェイス・キャリー(Chase Carey)最高経営責任者(CEO)は5日、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)に備え、物流拠点を欧州本土に移すなどの「緊急時対応計画」を作成していると明かした。

 多国籍なスタッフに支えられ、部品などの英国への出入りが多いF1業界では、いくつかのチームがブレグジット、特に合意のない離脱が実行された場合、物流の悪夢になると危機感を示している。

 2019年シーズンのF1に参戦する10チームの大半は、英国に拠点を持っており、英中部のノーサンプトンシャー(Northamptonshire)に拠点を置くメルセデスAMG(Mercedes AMG)のトト・ヴォルフ(Toto Wolff)代表は、ブレグジットは「最悪の混乱」を招きかねないと発言している。

 国際モーターショーが開催されるスイス・ジュネーブに姿を見せたキャリーCEOは、ブレグジットのタイミングや中身は不透明ではあるものの、F1として対策を練っていることを明かし、「緊急時の対応計画を作っている。英国への人とモノの出入りが難しくなる可能性があり、その問題への備えをしっかり行いたい」とコメントした。

 キャリーCEOはまた、英国拠点のチームで働く外国籍スタッフの 査証(ビザ)発給の問題もあるが、それよりも物品の移動をめぐる問題の方が悩ましいとの見解を示した。F1では現在、各チームをサポートする際に英国から欧州各地に物品を発送するのが主流だが、CEOは「現在は英国でモノの出入りがあるが、それが別の場所になる可能性はある」と話している。

 ブレグジットによって英国への物品の輸入が難しくなった場合、特に納期直前まで仕事をしているチームが多いこともあって、本土に拠点のあるチームが有利になるのではないかとみられている。キャリーCEOは、競争の不平等化に関する「臆測」へのコメントは差し控え、「みんなと同じように、われわれにも何が起こるかは分からない」と話すにとどめた。(c)AFP/Ben Simon