【3月2日 AFP】昨年3月に起きた神経剤を使ったロシア人元二重スパイ暗殺未遂事件で、現場となった英イングランド南部ウィルトシャー(Wiltshire)州ソールズベリー(Salisbury)が1日、除染作業の完了を宣言した。

 軍が11か月かけて除染作業を行った結果、ロシア人元二重スパイセルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏の自宅と、その他に汚染が疑われていた11か所が安全と判断された。

 スクリパリ氏と娘のユリア(Yulia Skripal)さんは昨年3月4日、強力な神経剤「ノビチョク(Novichok)」とみられる毒物にさらされた後、ソールズベリーの公園のベンチで意識を失っているところを発見された。英政府はスクリパリ氏暗殺未遂について、ロシア政府による承認があったことは「ほぼ確実」との見解を示している。

 環境・食料・農村省は、「除染作業の完了は、南ウィルトシャーが昨年発生した神経剤ノビチョクによる襲撃事件から平常に戻る上で重要な節目となる」と述べた。

 除染の一環として、閑静な場所にあるスクリパリ氏の自宅は、仮囲いで覆ってから屋根を外されるなど、一部解体された。南ウィルトシャー復興調整グループ(South Wiltshire Recovery Coordinating Group)のアリステア・カニンガム(Alistair Cunningham)会長は、「間もなくこの家(スクリパリ氏の自宅)の再建・改修工事が始まるので、また住宅として使えるようになる」と述べた。

 軍人約190人と専門業者から成る除染チームがソールズベリーと近隣のエイムズベリー(Amesbury)から5000点のサンプルを集めた。エイムズベリーでは昨年7月、スクリパリ氏襲撃に使われたとみられる香水瓶に入っていたノビチョクにさらされたドーン・スタージェス(Dawn Sturgess)さん(44)が死亡した。

 スクリパリ氏親子が倒れているところを発見された公園のベンチや、親子が食事を取ったレストラン、ノビチョクにさらされた警察官の自宅なども除染された。(c)AFP