【3月5日 Xinhua News】中国四川省成都市の成都文物考古研究院は2月26日、彭州(Pengzhou)市(成都市の管轄下にある県級市)で宋代の堪輿羅経図(かんよらきょうず、風水に用いられる方位図)を発見したと発表した。

 同研究院の発掘現場責任者、楊洋(Yang Yang)氏によると、成都市文物考古発掘チームが2018年6月に同市の青石村遺跡で事前調査と試掘調査を行ったところ、北宋末期から南宋初期の墓3基を発見した。

 3基の墓のうち、M1墓とM2墓の保存状態は比較的良好で、計4枚の鎮墓券(ちんぼけん、死者の安寧と子孫の繁栄を祈願する石板)が出土したが、M3墓の保存状態は良くなかった。堪輿羅経図はM1墓から出土した1枚の鎮墓券の表面に刻まれており、八卦や天干、地支、五行、二十四山、二十八宿、天地人鬼四路など中国の道教に古くから伝わる陰陽風水の「秘術」が描かれている。残り3枚の鎮墓券も刻字は不明瞭ながら八卦の記号などが読み取れた。

 M1墓から出土した2枚の鎮墓券の間には、漢代の五銖銭(ごしゅせん)、唐代の開元通宝(かいげんつうほう)や乾元重宝(かんげんじゅうほう)、宋代の咸平元宝(かんぺいげんぽう)、金代の正隆元宝(せいりゅうげんぽう)などの銅銭が挟まれていた。

 墓葬の形状や構造、副葬品、銅銭の年号などから墓は南宋初期のものと判断された。 

 楊氏は「副葬品は充実しているが、今のところ埋葬者の身分を特定することはできず、道教信仰と関係があることだけが分かっている」と語る。

 楊氏は、宋代の墓の腰坑(ようこう、墓室の床に掘られた小さな穴)上部から出土した鎮墓券と器物が、当時の葬送習慣や副葬品の組み合わせなどを理解する上で重要な情報を与えてくれると指摘。特に二十八宿鎮墓券の出土は宋代の道教遺構の分布や風水堪輿理論、中国伝統文化における八卦や天干、地支、五行、二十四山、二十八宿、天地人鬼四路などを研究する上で重要な意義を持つと語った。(c)Xinhua News/AFPBB News