【2月27日 AFP】ロシア政府は26日、南クリール諸島(South Kuril Islands、日本の北方領土)で光ファイバー回線を開通させたと発表した。

 ロシアの通信大手ロステレコム(Rostelecom)は、ロシアのサハリン(Sakhalin)島と択捉島、国後島、色丹島にある複数の町や村を全長815キロメートルの光ファイバー回線でつないだと発表。家庭や企業で高速のインターネットサービスが利用できるようになる。

 領土問題でロシアと交渉を続けている日本政府はこれに抗議。日本は領土返還を求めているがロシアは応じず、長い間両国間の対立が続いており、両国は第2次世界大戦(World War II)後の正式な平和条約が結べていない。両国政府は昨年、領土問題の解決と平和条約締結に向けた交渉を加速させることで合意していた中で、光ファイバー回線が開通した。

 開通式に出席したセルゲイ・イワノフ(Sergei Ivanov)大統領特別代表(環境・交通問題担当)は、「光ファイバー回線の開通は南クリールにとって画期的な出来事だ」として、同地域に新たな可能性がもたらされるだろうと述べた。ロステレコムによるとイワノフ氏は、「われわれロシアのものである離島に高速のインターネットが導入されたことで、地元住民の生活の質は著しく改善する」と語った。

 ロステレコムによれば、光ファイバー回線の費用は推計で33億ルーブル(約55億円)。(c)AFP