【2月27日 AFP】ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のフェイスブック(Facebook)や動画投稿サイトのユーチューブ(YouTube)で繰り返し再生されている動画がある──夜間飛行中に爆弾のようなものを落とす戦闘機を捉えた動画だ。インドとパキスタン両国の主要メディアもこの動画の映像について報じている。

 動画は、インドがパキスタン領内を空爆し、過激派戦闘員が多数死亡したと26日に表明したことをきっかけに拡散した。だが、パキスタン側はインドによる空爆を否定しており、両国間の緊張が高まっている。

 動画について、インドのSNSへの投稿やテレビ局は、インド軍機がパキスタン領内で空爆を実施しているところだと主張している。一方、パキスタンのフェイスブックの投稿や新聞は、パキスタン軍の戦闘機が領空侵犯してきたインド軍機を追い払っている様子を捉えた映像との見方を示している。

 だが、これらの主張はすべて間違っている。動画に映っていたのは2014年のパキスタン独立記念日に、パキスタン軍が首都イスラマバードで行ったデモ飛行を捉えた際の映像だったのだ。

■検証の対象

 今回、複数の動画が拡散した。一つ目の動画には、F16戦闘機と思われる航空機が夜間飛行中に爆弾のように見えるものを放ち、暗闇がパッと光る様子が映っている。

 パキスタンの主要メディアであるウルドゥー語紙ナワイワクト(Nawa-i-Waqt)は、この動画をフェイスブックに投稿し、6時間で1万7000回再生された。

 投稿された動画には、「パキスタン軍機による迅速かつ時宜を得た行動。インド軍機は退散した:DG ISPR」というキャプションが付いている。DG ISPRとは、軍統合情報局長官の略で、パキスタン軍広報を意味している。

 同じ動画はインドのフェイスブックにも投稿されている。しかし、ここではインド空軍が「過激派の拠点」を爆破した様子と説明されていた。

 この動画はパキスタンとインドのフェイスブック上で、繰り返し投稿され、拡散を続けている。

 二つ目の動画は、パキスタンのSiasiTVがフェイスブックに投稿したもので、投稿後2時間で2万回再生された。内容は1本目と似ており、やはり夜間に戦闘機が飛行している様子が映っていた。キャプションでは、パキスタン空軍がインド空軍による領空侵犯に対応しているところと説明されている。

 インドのフェイスブックにも同じ動画が投稿されているが、こちらのキャプションは「インド空軍によるパキスタン攻撃」となっている。動画は、投稿後5時間で3万6000回再生された。

 インド・グジャラート(Gujarat)の地方テレビ局「モルビニュース(Morbi News)」も、自社のユーチューブアカウントでこの動画を取り上げている。