【2月22日 AFP】オーストリア政府は19日、イエス・キリスト(Jesus Christ)が十字架にはりつけにされた受難を記念する聖金曜日(Good Friday、受難日)を午後半休の日にすると発表した。しかし、各方面から反対する声が上がっている。

 聖金曜日は、キリストの復活を祝う復活祭(Easter Sunday)の前の金曜日で今年は4月19日に当たる。オーストリアではプロテスタントなどキリスト教の一部宗派の信徒に限り聖金曜日が休日とされていたが、欧州司法裁判所(European Court of Justice)は先月、これを違法と判断。これを受けてオーストリア政府は19日、聖金曜日は誰でも午後2時に退社できるようにすると発表した。

 しかし、これまで聖金曜日に丸一日休む権利を持っていたプロテスタントの信徒から不公正だとの批判が噴出。経済界からもコストがかさみすぎるとの指摘が出るなど、各方面から反対する声が上がった。

 労働組合も、政府は労働者を「ばかにしている」のも同然と反発。オーストリア労働総同盟(OeGB)のベルンハルト・アヒッツ(Bernhard Achitz)氏は、「金曜午後2時に始まる休日なんてばかげている。どのみち大勢の労働者が昼には仕事を終えているのに」と述べた。オーストリアでは多くの企業が朝の早い時間に仕事を始め、金曜日の午後早くに1週間の労働を終えるのが慣例となっている。

 ソーシャルメディアは政府の中途半端な対応をやゆする投稿であふれ、「半分の聖金曜日」との書き込みもみられた。オーストリアの人口約880万人のうち約520万人はローマ・カトリック教会の信徒とされている。(c)AFP