【2月21日 AFP】15歳で内戦下のシリアに渡りイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に加わった英国人女性、シャミーマ・ベガム(Shamima Begum)さん(19)は20日、英市民権を剥奪するとの英政府の方針に衝撃を受けたと表明するとともに、夫の母国オランダでの市民権申請を検討していると語った。

 イーストロンドン(East London)でバングラデシュ系移民の家系に生まれたベガムさんは2015年、友人2人と一緒にシリアへ渡航し、ISに参加した。先週末、シリア北東部の避難民キャンプで男児を出産。IS参加を後悔してはいないが、わが子を英国で育てたいとして、英国への帰国を希望している。

 ベガムさんは英ITVニュース(ITV News)に対し、英政府から母親に宛てた書簡で19日に判明した市民権剥奪の決定について、「不当だ」「少しショックを受けている」と語った。

 その上でベガムさんは「選択肢」の一つとして、先日生まれた第3子の父親に当たる夫の母国オランダで市民権を申請する可能性に言及した。IS戦闘員の夫はシリアでクルド人部隊に拘束されたとみられているが、オランダには親類が暮らしている。
 
「オランダで市民権を申請できるのではないか」「夫がオランダの刑務所に送還されるなら、収監されている間、私はただ彼を待っていればいい」などとベガムさんは語った。

 オランダ司法省報道官はAFPの取材に、個別案件に関して政府はコメントしないと答えた。専門家らは、市民権取得には多数の厳格な要件を満たさなければならず、ベガムさんの申請が受理される見込みはほとんどないと指摘している。

 報道によれば英内務省は、ベガムさんにはバングラデシュ市民権を得られる権利があるとの見解を示したとされる。しかし、バングラデシュ外務省は声明で「ベガムさんはバングラデシュ国民ではない。生まれは英国民で、バングラデシュとの二重国籍を申請したこともない」と発表。バングラデシュ入国を認めない方針を示した。

 ベガムさんはシリアで結婚した後に生まれた第1子と第2子について、病気と栄養失調で死亡したと主張している。(c)AFP/Joe JACKSON