【2月20日 AFP】著名デザイナーの故カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)氏が溺愛していた飼い猫のシュペット(Choupette)は、すでにファッション界で最も有名な猫だったが、ラガーフェルド氏の死去により、世界一金持ちの猫になるかもしれない。

 シュペットは、白くふわふわとした毛並みの8歳の雌猫。ラガーフェルド氏によって2011年に友人のモデル、バティスト・ジャビコーニ(Baptiste Giabiconi)さんから「誘拐」されて以降、専属ボディーガード1人とメイド2人が付き、銀の皿で餌を食べるなどの豪勢なライフスタイルを満喫してきたが、同氏の死去を受け、推定1億7600万ユーロ(約220億円)とされる遺産の一部を相続する可能性がある。

 ラガーフェルド氏は19日に他界するずっと以前から、シュペットには慣れ親しんだ生活を続けられるように手配をしたと話していた。同氏はかつてフランスのテレビ局に対し「シュペットはリッチな娘」と語り、遺言状に愛猫の名が載っていることを示唆していた。

 シュペットはラガーフェルド氏と共にドイツの自動車メーカーや日本の化粧品ブランドの広告に起用され、少なくとも300万ユーロ(約3億8000万円)を稼いだとみられている。同氏は生前、「彼女には自分の財産もある」と話し、「もしものことがあったら、世話役はそれなしでやっていくことにはならない」と説明していた。

 シュペットはファッション界でカルト的人気を誇っており、ソーシャルメディア上のフォロワーは17万人を超えている。

 ラガーフェルド氏の巨額の遺産をめぐりシュペットの最大のライバルとなるのは、同氏が後見人としてかわいがっていたハドソン・クローニグ(Hudson Kroenig)君(10)だろう。同氏はお気に入りだった米モデルのブラッド・クローニグ(Brad Kroenig)さんの息子であるハドソン君に、自分自身の姿を重ねていたとも言われている。

 クローニグ親子を「自分の家族だと思っている」と語ったこともあるラガーフェルド氏は、ハドソン君と弟のジェームソン(Jameson Kroenig)君を、パリのグランパレ(Grand Palais)での「シャネル(Chanel)」のショーのモデルに何度も起用している。

 一方でラガーフェルド氏はシュペットについて、もし先に死んだならその遺灰を自分と母親の遺灰と共にまいてほしいと希望するほど愛情を注いでいた。ただフランス法の下では、遺産を猫に相続させることは認められていない。過去に記者からこの件に関する質問を受けた同氏は、「大丈夫、私はフランス人ではないから」と語り、遺産を信託する可能性も示唆していた。(c)AFP/Fiachra GIBBONS