【2月16日 AFP】南アフリカ政府は15日、テストステロン値が高い女子選手の出場資格を制限する規則に関する注目の裁判が次週に迫っている中で、陸上女子の同国代表キャスター・セメンヤ(Caster Semenya)への支援を表明した。

 国際陸上競技連盟(IAAF)はいわゆる「高アンドロゲン」もしくは「体の性のさまざまな発達状態(性分化疾患、DSD)」のアスリートを対象に、テストステロンを基準値まで下げる規則を適用する動きに出ている。

 しかし、女子800メートルで2012年ロンドン五輪と2016年リオデジャネイロ五輪に加え、世界陸上選手権(IAAF World Championships in Athletics)で3度の優勝を成し遂げているセメンヤは、この規則の正当性をめぐってスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴しており、18日からスイス・ローザンヌ(Lausanne)で審理が開かれることになっている。

 南アフリカ政府はスポーツ・娯楽相のトコジレ・カーサ(Tokozile Xasa)氏を筆頭に、この規則が「差別的」であると主張して高アンドロゲンのアスリートへの支援活動を立ち上げた。

 カーサ大臣は記者会見の席で、「これらの規則は、キャスター・セメンヤを明確な標的にしているとみられる」「われわれの見解では、これはデリケートな人種問題である」と述べた。

「ここで問題になっているのは、競技に参加する権利とはかけ離れたものである。女性の体、健康、生計を立てるための能力、アイデンティティーそのもの、プライバシー、そして世界に属する中での安心感と信頼感、それらが問題視されている」

「これは国際社会で認められている人権法の基準を著しく侵害するものである」 (c)AFP/Susan NJANJI