【2月16日 AFP】カナダ最高裁判所は14日、勤務先の学校で女子生徒らを隠し撮りしていた教師を窃視(のぞき見)罪で有罪とする判決を下した。プライバシー保護に対する法的権利を実質的に拡大するものだ。

 ライアン・ジャービス(Ryan Jarvis)被告(41)は勤務先であるオンタリオ(Ontario)州ロンドン(London)の高校で、ペンの中に隠したカメラを使って14歳から18歳までの女子生徒27人を撮影・録画したとされる。

 警察は、2010年1月から2011年6月までに「ペンカメラ」で撮影された動画35本を押収した。

 判決文は映像について、胸元が開いたり体に密着したりした服を着た生徒らを上または横から撮影したもので、生徒らの姿が「正面から録画した場合よりも胸元の見える角度で捉えられていた」と指摘。また、生徒らは教室やコンピューター室で席に着いているところや、廊下にいるところを撮影されていたとした。

 一審は、撮影時、生徒らにはプライバシーが守られるという合理的期待があったとしたが、被告が性的目的で映像を録画したという証拠が不十分だとして無罪を言い渡した。

 一方、控訴審は、被告の録画行為には性的目的があったとしたが、生徒らにプライバシーの合理的期待が生じる状況ではなかったとし、無罪判決を維持した。

 今回の最高裁判決は、カメラ付き携帯電話が公共空間に浸透するなど、新たな技術が普及した時代のプライバシー保護のあり方を示す判断として注目されていた。

 最高裁は、生徒らにプライバシーの合理的期待があったことに「疑いの余地はない」とし、控訴審判決を覆した。

 判決文は「授業に出席したり、廊下を歩いたり、教師に話し掛けたりする女子生徒は、教師から目をつけられて、自らの体に焦点を当てた映像を密かに、数分間または繰り返し、録画されることはないと期待する」と指摘。

 さらに「携帯電話を使い公共交通機関で女性のスカートの中を撮影する」「ドローン(小型無人機)を使い、被写体が予期しない状況で、公共プールで日光浴をする人の高解像度写真を撮影する」「喫茶店の人目につかない場所で授乳する女性を本人に気付かれないよう撮影する」といった行為を例に挙げ、これらすべてが「同様のプライバシー上の懸念を引き起こす」とした。

 最高裁はまた、被告は教師という役割により、生徒から信頼される立場にあったと指摘し、審理を下級審に差し戻した。被告には、窃視罪により最長5年の禁錮刑が言い渡される。(c)AFP