【2月11日 AFP】タイ当局は、バーレーン出身のサッカー選手で、バーレーン政府の送還要請を受けて身柄を拘束していたハキム・アライビ(Hakeem al-Araibi)氏(25)について、送還手続きを中止した。検察関係者が明らかにした。この問題をめぐっては、アライビ氏が自国に送還されればリスクにさらされるとして、国際社会から抗議の声が上がっていた。

 この関係者はAFPに対し、「バーレーン側から、(送還)要請を取り下げたいという打診があった…バーレーンの求めがなければ、われわれにはアライビ氏をここにとどめておく理由がない」と述べるとともに、同氏を解放する手続きに入ったことも明らかにした。

 中東地域の民主化運動「アラブの春(Arab Spring)」の抗議行動に関連し、バーレーン国内で犯罪に問われていたアライビ氏は、母国からオーストラリアに逃れ、難民申請が認められた。

 しかし昨年11月、ハネムーンで訪れたタイの当局に足止めされた。これはバーレーン政府の送還要請を受けたもので、裁判所の判断が出るまでの間、バンコクの刑務所に勾留されていた。アライビ氏は、自国に送還されれば拷問を受ける恐れがあるとして、解放に向けた支援を訴えていた。

 バーレーンによる送還要請の取り下げは、驚きをもって受け止められている。

 アライビ氏はバーレーンの警察署を破壊したとして、2014年に本人不在の裁判で有罪判決を受けた。ただアライビ氏は、事件は捏造(ねつぞう)されたものであり、バーレーンの有力一族の一人で、アジア・サッカー連盟(AFC)会長のサルマン・アル・ハリファ(Shaikh Salman bin Ebrahim Al Khalifa)氏を非難したことに起因していると主張している。(c)AFP