【2月8日 AFP】火星で生命の兆候を調査するために2020年に打ち上げられる予定の英国製探査車(ローバー)が7日、DNA研究のパイオニア、ロザリンド・フランクリン(Rosalind Franklin)氏にちなんで命名された。

 欧州初となる火星探査車の命名式が同日、探査車の開発が行われている英ロンドン北方のエアバス(Airbus)工場で行われ、英国人宇宙飛行士のティム・ピーク(Tim Peake)氏が名称を発表した。

 出席したクリス・スキッドモア(Chris Skidmore)英科学相は、英ケンブリッジ大学(Cambridge University)で学んだフランクリン氏が地球上の生命の理解に一役を担ったことに触れながら、「これからは、彼女と同名の探査車が火星上で同じことをする」と話した。

 フランクリン氏は、20世紀の優れた英国人科学者であるにもかかわらず、長らく正当に評価されてこなかった。しかし今回、3万6000人近くが参加した一般公募によって探査車の名称が選出された。

 スキッドモア科学相は式典で、「自身のキャリアを通じ、ロザリンド・フランクリン氏が障害を多数克服してきたのと同様に、この胸躍る冒険で『ロザリンド・ザ・ローバー(Rosalind the Rover)』が目的を達成し、来るべき世代の女性科学者や女性技術者らを鼓舞することに期待している」と話した。

 フランクリン氏の研究は、生物の遺伝情報を保持するDNAの構造に関して1953年に提唱された独創的な仮説を打ち立てる際に用いられた。同氏は1958年にがんのため37歳で死去したが、その4年後にDNAに関する研究でノーベル賞(Nobel Prize)を受賞した3人の男性科学者らは、受賞講演の中でフランクリン氏について言及しなかった。

 その後、彼らの研究に対するフランクリン氏の貢献は、1990年代に至るまで科学的文献ではほぼ見過ごされたままとなっていた。