■非常にうるさい好み

 次の実験では、両方の植物から葉を取り除き、まったく別の植物の葉に差し替えた。ところが、カラスは惑わされることなく、前回と同様に好みの植物をしっかりと選択した。

 この結果についてクランプ氏は、「葉の方が目に付きやすいので、カラスはまず葉を探し、その次の第2段階として茎を見るのだろうと、当初は大まかに考えていた」と述べ、「実際、カラスは葉を見分けた。しかし、今回の実験で明らかになったのは、カラスが注目する最も重要なものが茎であるということだ。非常に好みがうるさいということだろう」と指摘した。

 オーストラリアの東約1500キロに位置する仏領ニューカレドニアに生息するカラスは、くちばしが届かない場所にいる獲物を捕らえるための道具を巧みに使う。このことは、長きにわたって鳥類学者らを感心させてきた。

 カラスが持つ一連の技能は遺伝によるものか、それとも社会的相互作用を通じて「学習」したものかをめぐる議論は今も続けられている。しかし、クランプ氏はカラスの利口さがどちらに分類されるかに関しては特に気にしていないと話す。

「カラスは生息する環境に実にうまく適応しているとともに、道具の利用や特定の植物を念入りに選ぶことなど、特性を進化させてきたことは明らかだ。環境との相互作用についても多くのことを知ることができる」

「多くの問題を解決できるという点から見ても、カラスの知能が高いことは疑うべくもない」

 実験について記した研究論文は、英国王立協会(Royal Society)の専門誌バイオロジー・レターズ(Biology Letters)で発表された。(c)AFP