【1月30日 AFP】選手への暴行で有罪判決を受けていたショートトラック韓国代表の元コーチ、チェ・ジェボム(Cho Jae-beom)被告の控訴審の判決が29日に水原(Suwon)の地方法院で言い渡され、一審の懲役10月よりも重い18月の判決が下された。

 この裁判では、当初チェ・ジェボム被告には暴行の罪で懲役10月の判決が言い渡されたが、被告は「成績を伸ばすために」選手に暴行を加えたことは認めつつ、性的暴行は否定して控訴していた。

 しかしその後の控訴審で、五輪で2個の金メダルを獲得したショートトラック女子の沈錫希(Suk-Hee Shim、シム・ソクヒ)が、7歳の頃から「エスカレートの一途」をたどる暴力を受け、殴る、蹴るなどされて死ぬかもしれないと思ったこともあったと涙ながらに証言。同日、17歳の頃から2018年1月まで、元コーチの被告に性的暴行を受けていたとして警察に被害を届け出ていた。

 22歳の同選手は、2014年のソチ冬季五輪と母国開催の2018年平昌冬季五輪のリレーで金メダルを獲得し、通算4個の五輪のメダルを獲得している。

 韓国はスポーツに力を入れており、夏季、冬季を問わず、五輪ではメダル獲得数トップ10の常連となっている。しかし過酷な競争社会でもあり、勝利が絶対視されるスポーツ界では、指導者が選手のキャリアを支配したり、暴行や言葉の暴力を加えたりといったことが常態化している。また昔から保守的な国でもあり、性犯罪の被害に遭った女性が声を上げるのは難しい状況がある。(c)AFP