【1月30日 AFP】米国は29日、米国に不法入国した難民申請者をメキシコに送還し、裁判所での聴聞の実施日までメキシコ国内で待機させる措置を始めた。ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の方針に基づく措置だが、この政策には米国とメキシコの双方で異論が出ている。

 米カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego)と国境を接するメキシコ北部ティフアナ(Tijuana)のAFP特派員によると、最初の対象者となったホンジュラス出身の男性は、待機していたメキシコ出入国管理当局の車に乗せられ、移民収容施設に送られた。

 在メキシコ米国大使館は「この措置は、米国が南部国境で直面している不法移民危機への対策だ」とし、米国では過去5年で難民申請が2000%増加したと説明。「たとえ正当な理由がなくても、難民申請さえすれば米国にとどまれる可能性があることを多くの難民が知っているからだ」と指摘した。

 米国は不法入国した難民申請者に対し、裁判所での手続きの間、国内にとどまることを認めてきたが、トランプ大統領はこの仕組みを「キャッチ・アンド・リリース(拘束と釈放)」と呼んで批判。廃止に向けて昨年「メキシコ待機(Remain in Mexico)」政策を発表した。

 メキシコ当局の発表によると、米国は当面ティフアナで1日20人をメキシコ側に引き渡し、順次難民申請者を引き渡す国境検問所を増やす計画。だが、この計画は米国とメキシコの両国で、反移民的で、弱い立場にある難民を危険にさらす恐れがあるとの強い批判を受けている。(c)AFP