【1月30日 AFP】パレスチナ自治政府のラミ・ハムダラ(Rami Hamdallah)首相は29日、マフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長に辞表を提出した。パレスチナでは10年にわたり政治的対立が深まっているが、アッバス氏が自身の立場を強化する狙いがあるとみられている。

 首相の辞表提出はパレスチナ解放機構(PLO)の公式通信社、パレスチナ通信(WAFA)が閣僚会議後に英語で報じた。新政権が樹立するまでの間、ハムダラ政権は存続する見通し。

 アナリストらは、5年在任したハムダラ首相の交代について、ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配しているアッバス氏の対抗勢力、イスラム原理主義組織ハマス(Hamas)をさらに孤立化させるための、アッバス議長の取り組みの一環とみている。
 
  ハマスは2006年に議会選挙で勝利。選挙から1年後の2007年、アッバス議長率いるファタハ(Fatah)との抗争でガザ地区を掌握した。パレスチナの政治は以降、ほぼまひ状態にある。

  一方アッバス氏と米国との最近の関係は歴史的に見ても崩壊した状態にある。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は和平合意を提案すると誓約しているが、昨年5月、数十年にわたり維持されてきた国際的な合意を破り、在イスラエル米大使館をエルサレムに移転した。

 パレスチナ人は東エルサレムを将来のパレスチナ国家の首都と位置付けており、アッバス氏は同大使館の移転後、一貫してトランプ政権との協議を拒否している。(c)AFP/Hossam Ezzedine