【1月29日 AFP】国際NGO「トランスペアレンシー・インターナショナル（TI）」が29日に発表した各国の腐敗の度合いを数値で示しランキング形式で発表する「腐敗認識指数」2018年版で、米国の腐敗度が高まり順位を下げたことが分かった。ドナルド・トランプ（Donald Trump）大統領の下でチェック・アンド・バランス（抑制と均衡）制度が危機にさらされているという。

　ドイツの首都ベルリンに拠点を置くTIは世界180の国と地域について、公的部門の腐敗度を指数化。最も腐敗した状態が0ポイント、最も清廉な状態が最大の100ポイントとなる。

　昨年の指数で、米国は前年から4ポイント減の71ポイントとされ、2011年以降初めて上位20位圏外に陥落した。

　米国の指数を下げたことについて、TIはその年次報告で「最高権限レベルにおいて、チェック・アンド・バランスの制度が脅かされ、倫理基準が損なわれている」と説明している。

　TIのゾーイ・ライター（Zoe Reiter）米国代表代行はAFPに「トランプ大統領の下で、公共の利益に対して責任ある政府を構えるための米国の制度の亀裂が浮き彫りになった」と述べる一方、「ただトランプ氏は問題の一因というより一症状だ。同氏が大統領に就任する前から問題は生じていた。例えば政府倫理局（Office of Government Ethics）には、最上位レベルにおける利害対立を制御する力がそもそもない」と分析した。

■最も清廉な国はデンマークとニュージーランド

　腐敗度が低い清廉な国々の上位は、例年通り北欧諸国とニュージーランドが占めている。1位はデンマークで、88ポイント。2017年に首位だったニュージーランドは、わずか1ポイント差の87ポイントで2位になった。

　反対に、最もポイントが低く腐敗した国とみなされたのは、紛争下にあるソマリアで10ポイント。ソマリアは連続で最下位となっている。他にもイエメンや南スーダン、シリアが10ポイント台前半に据え置かれた。

　またTIはトルコとハンガリーについて「法の支配と民主主義制度が劣化し、市民社会と独立メディアの自由度が急速に収縮している」と指摘した。

　TIは腐敗撲滅に向けた各国政府への提言として、報道の自由のために立ち上がり、政府の支出を民間の立場から監視する市民団体を支援するよう奨励している。(c)AFP/Michelle FITZPATRICK