【1月29日 AFP】昨年3月にネパールの首都カトマンズの空港付近で起きたUSバングラ航空(US-Bangla Airlines)の旅客機墜落事故に関し、ネパール政府は調査報告書で機長の「情緒不安定」が原因だったと結論付けた。同事故はネパールでここ数十年に発生した航空事故としては最多の犠牲者を出していた。

 昨年3月12日にバングラデシュの首都ダッカを出発したカナダの航空機大手ボンバルディア(Bombardier)のDHC-8-402型ターボプロップ機は、カトマンズ空港で着陸に失敗し、サッカー場に突っ込んで炎上。乗客乗員計51人が死亡した。燃え上がる機体の残骸から乗客20人が奇跡的に脱出に成功した。

 調査報告書はアビド・スルタン(Abid Sultan)機長が、女性の同僚から優秀な指導者としての評判を疑問視された後、「重度の精神的ストレス」を抱えて動揺していたことを示す明確な証拠が存在したと結論付けた。

 報告書によれば、スルタン機長は、ダッカからカトマンズまでの短時間のフライト中、終始たばこを吸って話し続け、若手の副操縦士に自身の能力の高さや技能の習熟度を印象付けようとしていた。また事故の原因の一つに、同機長が「自身が能力のあるパイロットであり、どんなに不利な状況下でも機体を安全に着陸させられることを証明しようとした」ことが挙げられるとした。

 副操縦士のプリトラ・ラシド(Prithula Rashid)氏は資格を取得して間もない操縦士で、カトマンズ空港への着陸は初めてだった。同空港は幅の狭いわん状の盆地内に位置しており、着陸が難しい空港として知られている。

 調査当局によると、旅客機は当時、滑走路に接近するところで、土壇場での方向転換により減速に失敗。着陸の際に必要な確認を行わなかったという。(c)AFP