【1月27日 AFP】オーストラリアで建国記念日「オーストラリア・デー(Australia Day)」に当たる26日、この国民の祝日は先住民に対する敬意を欠くものだと主張し、再考を呼び掛ける抗議デモ「インベージョン・デー(Invasion Day、侵略の日)」が各地で開催され、数千人が参加した。

 オーストラリア・デーは、1788年に最初の英入植者団の到着したことを祝うものだが、英入植者団の到着が先住民アボリジニに対する植民地支配的な迫害の始まりだったと考えるオーストラリア人も多い。

 南東部メルボルン(Melbourne)では26日、毎年恒例のデモ行進が行われ、数千人が参加。「これまでも、これからもずっとアボリジニの土地だ」とシュプレヒコールを上げたり、「オーストラリアは犯罪現場」と書かれたプラカードを掲げたりした。デモに参加したドミニク・ゲレーラ(Dominic Guerrera)さんはAFPに対し、「なぜオーストラリアと呼ばれるこの概念を祝おうとするんだ? うそと大虐殺、殺人の上に成り立っているものなのに」「そこに祝う要素なんかない」と訴えた。

 豪全土の主要都市でも同様のデモが行われ、数千人が参加。オーストラリア・デーの日程変更または完全廃止を求めた。近年、オーストラリア・デーの日程変更を求める声が高まっており、分断が深まっている。

 アボリジニの人々は今も、オーストラリアで最も不利な条件に置かれており、貧困の人や不健康な人、収監されている人の割合が他のどのコミュニティーよりも高くなっている。

 一方、ピクニックやアボリジニの伝統芸能、市民権授与式など、オーストラリア・デーを祝う催しも開かれた。市民権授与式では、1万6000人以上の新オーストラリア人が国家への献身を誓った。(c)AFP