■「私たちが大好きな映画館」対「ショッピングセンター」

 だが、地元モスクワの建築家の多くや活動家らは納得していない。モスクワで建築事務所を開いているルーベン・アラケリャン(Ruben Arakelyan)氏は、映画館を復活させるのは良いことだが、ブルータリズム様式の映画館も保存できたはずだと言う。

 また活動家らは、ソ連時代の映画館が、すでにモスクワにあり余るほどある「単なるショッピングセンター」に変わってしまうと懸念する。

「ADGグループからは、気がめいるような場所だから取り壊す必要があると伝えられた」。映画館「アルマス(Almaz、ロシア語でダイヤモンドの意)」を守る市民団体の代表を務めるクリム・リハチョフ(Klim Likhachev)さんは話す。

 モスクワ南部の緑豊かなシャボロフスカヤ(Shabolovka)地区にある、外壁がターコイズ色の「アルマス」は、1964年に建設された映画館だ。

 リハチョフさんは「何と言われようと、これが私たちの大好きな映画館。なのに住民には、誰からも話がなかった」と語る。「彼らは再建と言っているが、実際には破壊だ。『地域のためのセンター』になるなんて言っているが、どこにでもある陳腐なショッピングセンターが増えるだけだ」 (c)AFP/Ola CICHOWLAS